
WeSupport Family(後編)リーダー 大熊拓夢さん
困窮するひとり親家庭に対して、フードバンク・プラットフォームとしてさまざまな企業と支援現場をつなぐ活動に取り組んでいるWeSupport Family。今回の後編では、同団体リーダーの大熊拓夢さんに活動の展望とこどもふるさと便への期待についてうかがいました。
食品にとどまらない多角的な支援
——前編では、ひとり親家庭を支援する背景や、3つの主な取り組みのうちの「食品の支援」についてうかがいました。2つめ「体験機会の提供」は、どのような取り組みでしょうか?子どもの機会格差は、こどもふるさと便でもこれから力を入れて取り組んでいきたい課題でもあります。
経済的に厳しい家庭の子どもの約3人に1人が、1年を通じて学校外の体験活動を何もしていないという調査結果があり、物価高騰によりさらに体験機会が減少しているといわれています。
こうした現状に対して、私たちなりの機会提供ができないかということではじまったのが「体験機会の提供」です。オイシックス・ラ・大地の事業を通じてもともと生産者さんたちとのつながりがあったので、醤油蔵の見学、ウインナーづくり教室、畑での収穫体験などを農家さんや食品メーカーさんの協力でおこなうことからはじめました。
2024年からは給食がなくなって子どもたちへの食支援のニーズが高まる長期休みに合わせたタイミングで、WeSupport Family主催のフードパントリーを開催するようになったのですが、その会場でも花束づくりのワークショップやダンスレッスンなどの体験機会の提供をおこなっています。

画像提供:WeSupport Family
——3つめの取り組み「生活の彩りの支援」についても教えていただけますか。
たとえば化粧品など、食品や生活に欠かせない日用品以外のものの提供がそれにあたります。私たちは子どもの貧困という社会課題に向き合っているので、基本的には子どものことを中心に考えていますが、親の心のゆとりは子どものためにも大切だと考えています。心にゆとりがあるかどうかで、家庭内の親子の関係なども変わってきます。
先ほどお話したコスメのほか、母の日にお花をお渡しするといった活動をしてきましたが、想像以上に喜んでいただけていて。たとえば、母の日のお花のお渡しを2年連続でおこなったのですが、「母の日なんて忘れてた」と言って喜んでくださる方がいたり、昨年のお花を鉢植えでまだ育てている写真を見せてくださる方がいたりもしました。毎日の生活に必死にならざるをえない方が多いので、そういった方々に少しでも心のゆとりを感じるものや機会を提供していけたらと考えています。

画像提供:WeSupport Family
民間だからこその「らしさ」を生かす
——WeSupport Familyの事務局を担うオイシックス・ラ・大地は株式会社ですが、民間企業として公益的な事業に取り組むモチベーションは、どのようなところから生まれるのでしょうか?
そういうご質問をいただくことも多いんですが、わりと自然にやっていて。当社の企業理念のなかに、「食べる人と作る人とを繋ぐ方法をつねに進化させ、持続可能な社会を実現します」「食に関する社会課題を、ビジネスの手法で解決します」」というものが入っています。WeSupport Familyは、利益を出すような取り組みではないですが、ビジネス的なアプローチを使って社会の課題を解決することを目指すものなので、企業理念とも合致すると思っています。
また、WeSupport Familyだけが特別に社会的な取り組みというわけではなく、2003年にスタートした社会的なムーブメント「100万人のキャンドルナイト」は、いまも大地を守る会ブランドで継続していますし、TABLE FOR TWOとの協働も2008年から続けていたりもします。
——「民間企業なのに」という質問をしましたが、その逆に「民間企業だからこそ」の持ち味や特徴はどういうところにあるとお考えでしょうか。
当社の話でもあり、WeSupport Familyの話でもありますが、全体的なことでいうと、スピード感ですとか、実行を重視してやっていくところは、私たちらしい部分であり、民間企業だからこその強み、らしさだと思います。
WeSupport Familyには3つの活動方針があって、そのうちのひとつが「民間ならではスピード感」です。民間だからできるスピード感で、実行重視で課題解決を目指すということを指針として掲げています。
あとは、自分たちが企業だからこそ、食品協賛などをしてもらうサポート企業の気持ちが分かるというところもあると思います。どうしたら相手が嬉しいかということが分かるので、仕組みづくりやコミュニケーションのうえでそういったところは役に立っているのではないでしょうか。

子どもの支援とふるさと納税の掛け算に期待
——今回、こどもふるさと便に参加してくださることで、WeSupport Familyを通じて困窮したひとり親家庭の子どもたちに支援を届けられることになりました。参加を決められた背景には、どのようなものがあったか教えていただけますか。
日本には寄付文化が根づいていないといわれますが、社会福祉的な分野への寄付もまだまだ一般的とはいえません。一方でふるさと納税というのは、日本のなかでおそらく一番成功している寄付の仕組みだと思います。
寄付を必要としている社会福祉的な課題と、寄付を集めることに成功しているふるさと納税を掛け算して、課題解決をしていこうというチャレンジを面白いと感じ、そこに共感したというのが参加した背景のひとつです。それに加えて、もともとネッスーさんとして食を通じた子どもたちへの支援に取り組んできた土台があったうえで、このような取り組みをはじめるというところに信頼も感じています。
そうした共感や信頼のうえで、 私たちの取り組みともスムーズに連携できそうなイメージをもてたことから、一緒にやりましょうということになりました。

さらなる「インパクト」を目指して
——今後、団体として力を入れていきたいポイントや、取り組みの展望などはありますか?
現在は約3万世帯に支援を届けていますが、日本全国で考えると困窮しているひとり親家庭が約60~70万世帯はあるはずです。先ほどもお話した私たちの活動方針なかに、活動が社会にもたらす影響や変化・成果を重視して課題解決を目指す「インパクト重視」もあって。インパクトという観点から見ると、まだまだ活動のインパクトが小さいと考えています。
インパクトを大きくしていくためには、さまざまなところと協力していくことが非常に重要だと考えています。3つある活動方針のもうひとつが「競争相手は社会課題」で、ふだんは競争する企業・団体であっても、子どもの貧困という社会課題については連携して解決を目指すというものです。
今回のこどもふるさと便との連携もそのひとつですし、食品に関わるところに限らずさまざまな企業・団体と連携できる部分を探りながら、ひとり親家庭に対する支援を広げていけたらと考えています。



