こどもふるさと便

こどもふるさと便、本格スタートを発表!!

こどもふるさと便、本格スタートを発表!!

2025年12月4日、下北沢のイベントスペース・ADRIFTにて「こどもふるさと便」の連携発表会を開催しました。

メディアや事業に関係する方々が集まったこの発表会。「こどもふるさと便」で連携する6自治体とこどもへの支援に取り組む6団体の代表者らが登壇し、連携発表と本格的なサービスの始動を宣言しました。この記事では、発表会の模様とそのあとに同会場で開催されたこども食堂についてレポートします。

連携自治体・団体

この日登壇した連携先の自治体・支援団体は次のとおり(オンライン含む)。

連携自治体:北海道旭川市、北海道音更町、石川県能登町、長崎県壱岐市、長崎県対馬市、宮崎県都城市(順不同)

連携団体:認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ、公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン、認定NPO法人キープ・スマイリング、認定NPO法人D×P、一般社団法人I&Others、WeSupport Family(順不同)

連携発表会レポート

エントランスと展示コーナー

会場に入って最初に目に飛び込むのは、こどもふるさと便を通じて寄付される食材や、連携先の自治体・支援団体の紹介パネルの展示コーナー。イベント開始までの間、熱心に展示パネルを読む来場者たちの姿が見られました。

こどもの貧困や機会格差を解消する「こどもふるさと便」

いよいよ発表会がスタート。冒頭ではネッスー代表取締役・木戸優起が登壇し、「こどもふるさと便」が生まれた社会背景や事業の仕組み、取り組みに込めた思いなどを語りました。

「日本では、9人に1人のこどもが相対的貧困の状態にあるといわれています。特にひとり親世帯では、2人に1人がその状況にあるともいわれ、日常的にさまざまな機会にアクセスできないまま育つこどもたちが多くいます。」

「こうした機会格差のない社会を実現したいという思いから立ち上げたのが、こどもふるさと便です。この理念に共感してくださった全国の自治体や団体のみなさまと連携し、こどもたちを支える輪を地域とともに広げていきたいと考えています。」

こどもふるさと便の仕組み

連携自治体・団体の代表者が、期待と意気込みを発表

続いて、「こどもふるさと便」の連携先である6自治体および6団体の代表者らが登壇し、それぞれの地域や団体の取り組みの紹介とともに、本格連携に向けた期待や意気込みが語られました。

登壇者のコメント(抜粋)

<連携自治体>

北海道旭川市 杉山利勝さん(農政部次長 兼 農業振興課課長) 「こどもふるさと便を通じて、旭川市のおいしいお米を全国のこどもたちへ届けたいと考えています。」

宮崎県都城市 野見山修一さん(ふるさと納税部ふるさと納税課) 「この取り組みに深く共感しています。都城市自慢のお肉をしっかりこどもたちに届け、たくさんの笑顔を生み出していきたいです。」

北海道音更町 西岡淳一さん(企画財政部まちづくり推進課課長) 「日本全体の食料自給率は38%程度ですが、音更町を含む十勝エリアは1300%を超えます。日本の食料基地として、このプロジェクトに協力しない理由はありません。」

長崎県対馬市 武田柊馬さん(農林水産部水産課主事/オンライン登壇) 「対馬の水産品、特に未利用魚をこどもたちに届けられる仕組みに期待しています。全国のこどもたちにおいしい魚をお届けできるよう努めてまいります。」

長崎県壱岐市 塚本和広さん(地域振興部部長/オンライン登壇) 「壱岐には、美しい自然と豊かな体験があります。こどもふるさと便を通して島ならではの魅力を伝え、一生ものの思い出として心に残る体験を届けられたら嬉しいです。」

石川県能登町 玉地大輔さん(ふるさと振興課係長/オンライン登壇) 「令和6年能登半島地震では全国から多くのご支援をいただきました。今回の取り組みは、能登町のおいしい魚をこどもたちに届けるだけでなく、被災地の事業者への応援にもつながると感じています。人と人とのつながりの大切さを胸に、少しでも恩返しができればと願っています。」

<連携団体>

認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ 遠藤典子さん(理事) 「全国に1万ヶ所以上あるこども食堂は年々増加しています。こどもふるさと便のような仕組みは、地域に思いを届ける大きなエールです。大人たちが知恵を出し合い、こどもたちを支えていける土台になってほしいと願っています。」

公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン 小嶋新さん(事務局長) 「これまで寄付をこどもたちの教育支援に活用してきましたが、今後は生活の場も支援対象に広げていきたいと考えています。包括的な支援を目指すなかで、この取り組みに大きな可能性を感じています。」

認定NPO法人 キープ・スマイリング 光原ゆきさん(理事長) 「入院中のこどもに付き添うご家族を支援する活動をおこなっています。今回ご提供いただく品は、私たちが全国の小児病棟に届けている専用パックに詰めてお届けします。」

認定NPO法人D×P 熊井かおりさん(広報・ファンドレイジング部マネジャー) 「経済的困難や虐待、いじめなどの課題を抱える若者に、30食分の食料を詰めたパックを送り、相談支援もおこなう活動などをしています。今回の取り組みにより、支援できるお米の量が増えたことは本当にありがたく、現場でも大きな反響があります。」

WeSupport Family 大熊拓夢さん(リーダー) 「困窮するひとり親世帯に食品を届けるマッチング支援を展開しており、現在は毎月3万世帯への支援をおこなっています。こどもふるさと便の理念に深く共感しており、全国から届く特産品を楽しみにしながら、応援の輪をさらに広げていきたいです。」

トークセッション「使いみちで募るふるさと納税と、こどもと地方の未来」

イベント後半では、「使いみちで募るふるさと納税と、こどもと地方の未来」をテーマにトークセッションがおこなわれました。

パネリストは、こどもふるさと便の理念にいち早く共感し連携を開始した北海道旭川市の杉山利勝さん、これまで5度の全国1位を獲得し、昨年度は177億円の寄附が集まりふるさと納税制度の活用をリードする宮崎県都城市の野見山修一さんのお二人と、ネッスー代表の木戸優起。それぞれの立場から、こどもふるさと便がひらくふるさと納税の新しい可能性などについて話し合いました。

トークセッションでのコメント(抜粋)

杉山利勝さん(北海道旭川市農政部次長 兼 農業振興課課長)

「旭川市に入って最初に配属されたのが生活保護の担当で、こどもたちの経済格差についてもその頃からずっと問題意識を持ってきました。こどもふるさと便の仕組みを使えば、地域の主要な産業である農業を振興しながら、社会課題の解決にもつながるのではないかと感じています。」

「こどもふるさと便を通じて旭川のお米をこども食堂に届けた際に、『ほんとうにお米がおいしい!』『旭川に行ってみたい』といった声が聞けて、非常に嬉しかったですし、やってよかったと感じました。また、農家さんたちへの報告会を開き、こどもたちがお米を食べている写真を見せて感想を伝えたところ、みなさんとても喜んでいました。自分たちのつくったお米が社会課題の解決に役立っているということに対して、農家のみなさんも非常にやりがいを感じてもらえています。」

 

野見山修一さん(宮崎県都城市ふるさと納税課)

「ふるさと納税をしてくださるみなさんのおかげで地域は元気になってきました。一方で、こどもの貧困や機会格差は全国的な課題ですし、行政だけで解決を図るには限界があるため、民間企業やNPOなどとの協働が必要とされています。

こどもふるさと便は、こどもの貧困や機会格差の解消と地域の産業振興というこれまで別々に語られてきた課題、そして全国のさまざまな地域や多様な主体をつなぐ取り組みであり、これまでのふるさと納税をさらに一歩進めるものだと感じています。」

「寄付文化がないといわれる日本で、寄付という行為を少しずつ広げてきたのがふるさと納税の制度だと思います。そして、返礼品に目がいきがちですが、こどものために使ってほしいなど、寄付の使いみちに関して強い思いをもっている方も確実にいることを感じています。この取り組みを通じて、思いの部分で寄付をするという流れをさらに後押しできると思いますし、私たちもしっかり取り組んでいきたいと考えています。」

 

戸優起(ネッスー代表取締役)

「こどもの未来を守るためには、地域が元気になることが前提だと考えています。まず地域が元気でないと、そこにまた格差が生まれるということもありますし、地域の産業振興とこどもの支援というのは表裏一体だと考えています。」

「私たちの事業の理念をご理解いただき、パートナーとして一緒に取り組んでいただくことを大切にしていますが、この取り組みに共感し、参画してくださる自治体や団体が本当に増えてきています。これからも、こどもたちへの応援の輪をより一層広げていけるよう、引き続き尽力していきます。」

こども食堂レポート

連携発表会がおこなわれた同じ会場にて、夕方から地域のこどもたちを招いてこども食堂が開かれました。この日の献立は、こどもふるさと便で届けられる各地の応援品を使った特別仕様です。

【この日のこども食堂の献立】

・音更・士幌おやさいと都城のぶたさんカレー 旭川のお米といっしょ

・対馬アイゴカツ カレーに添えてね

・壱岐のオリーブオイル仕立て キャロットラペ

・能登の宝物 イカからあげ

特別ゲストに、こどもふるさと便の連携自治体である北海道旭川市の杉山利勝さん、北海道音更町の西岡淳一さんのお二人も登場。それぞれの地域の魅力やこの日の献立に使われた食材についてお話しいただきました。ご挨拶のあとは、特別ゲストのお二人もこどもたちと一緒に食事のテーブルに。

全員揃って「いただきます」のあとは、思い思いに食事を楽しむ時間です。日本各地の特産品を使った献立に、スプーンや箸がどんどん進みます。

「カレーのニンジンがおいしい!」

「ごはんだけ、おかわりしたい!」

「イカとおさかなの揚げ物、もっとください!」

こどもたちからはこんな声が聞かれました。また、満足度の高さを裏づけるかのように、多くの子がおかわりをして食事を楽しんでくれました。

食事が済むと、お片付けの時間です。この日のこども食堂で使われた食器は、リサイクルに適した剥がせるフィルムが付いた容器(P&Pリ・リパック)。こどもたちは使い終わった容器からフィルムを剥がし、分別とリサイクルにも協力してくれました。

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その他の活動実績

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