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WeSupport Family(前編)リーダー 大熊拓夢さん

WeSupport Family(前編)リーダー 大熊拓夢さん

2019年に内閣府が公表した調査データによると、日本における子どもの貧困率は7人に1人。さらにひとり親世帯となると約5割まで貧困率が高まることが明らかになっています。ひとり親世帯の生活が困窮しやすい背景には、働き方が制限されることなどがあり、決して自己責任だけで片づけられる問題ではありません。

そんな困窮しやすいひとり親家庭に対して、フードバンク・プラットフォームとしてさまざまな企業と支援現場をつなぐ活動に取り組んでいるのがWeSupport Familyです。子どもの貧困とひとり親家庭の現状やそれに対する取り組みについて、同団体リーダーの大熊拓夢さんにうかがいました。

コロナ禍の医療従事者支援から、ひとり親家庭の支援へ

——団体設立の経緯を教えていただけますか。

WeSupport Familyには前身となる活動がありまして、それが2020年4月に立ち上がったWeSupport(WeSupport Medical)です。これは新型コロナウイルス感染症に最前線で対応する医療従事者の方たちに対して、食支援を何かできないかということではじまった取り組みです。

その当時は新型コロナウイルス感染症がどういう病気かもよく分かっていなくて、医療従事者の方はスーパーや飲食店にも行きづらいうえに、病院内の食堂なども患者さん優先で食事がとりづらいという状況でした。

私が所属しているオイシックス・ラ・大地は食に関わる企業です。この大きな社会課題に対して、食の企業として何かできないかということで、いろいろな企業の方に協力してもらいながら、食品支援をおこなうプラットフォームとしてWeSupportが生まれました。

——2020年4月というと、まさに最初の緊急事態宣言が出たタイミングですね。

そうです。非常に多くの医療従事者の方々や医療機関から感謝の言葉をいただき、活動も広がっていきました。食品メーカーのネットワークをもつオイシックス・ラ・大地、配送ノウハウをもつココネット、社会事業のコーディネートをおこなうRCFの3社が協働し、127社のサポート企業の食品協賛などを受けてのべ76.5万人の医療従事者へ支援を届けることができました。

ただ、活動を継続するなかで、収束こそしないものの新型コロナウイルスをめぐる状況も変わっていきました。さまざまな社会への影響をおよぼした新型コロナウイルスですが、コロナによる失業や収入減少という問題も起こっていました。特にひとり親家庭では、非正規雇用の方も多く、経済的に苦しくなっている家庭が多くなっていたことを知り、WeSupportでつくった仕組みをそちらの課題のほうに活用できないかという話になっていきました。

実際にフードパントリーなどの支援現場を見学させていただいたり、関係者にお話を聞いたりするなかで、私たちの仕組みが役立てそうだという確信をもてたこともあり、2021年11月にWeSupport Medicalの活動を終了。翌月の12月にWeSupport Familyが立ち上がりました。

子どもの貧困とひとり親家庭

——団体設立のきっかけとなったひとり親家庭の貧困は、さまざまな場面で叫ばれている子どもの貧困にも直結した社会課題だと思います。ひとり親家庭と子どもの貧困との関わりやその現状について教えていただけますか。

コロナ禍の影響だけでなく、近年の物価高騰や雇用の不安定化は、ひとり親家庭の家計を直撃し、日常の食卓さえ揺らぎやすい状況が続いています。18歳以下の子どものいる貧困世帯は全国に約268万世帯ありますが、そのうちひとり親の世帯が66%を占めています。意識調査においても、ひとり親の世帯のうち4分の3にあたる世帯が、生活が苦しいと感じていることが分かっています。

また、困窮するひとり親家庭などに食の支援をおこなう団体にとっても、物価高騰などの社会変化は大きな打撃となっています。「食材の提供がピーク時の半分になり、フードバンク全体で足りない状況。材料高騰も影響していると感じる」といった声も支援団体から聞かれます。

WeSupport Familyでは、そうした家庭に継続的な安心を届けるために、全国69拠点の支援団体と連携して約3万世帯へ食品支援をおこなっています。これまでは一都三県(埼玉・千葉・神奈川)を中心に活動をおこなってきましたが、2025年9月からは福岡県へも支援をおこなえるようになりました。

——WeSupportからWeSupport Familyへと移行するうえで、取り組む社会課題や支援対象も変化しました。それに対して、食品協賛などをおこなうサポート企業側の反応や変化は何かあったでしょうか。

基本的には好意的に受け取っていただいていて、WeSupportの頃から引き続き協力してくださっている企業さんも多数あります。2021年の夏にWeSupportに協力していただいた企業の方々に向けたオンラインの報告会をおこなったんです。それまでの感謝をお伝えしつつ、医療従事者に向けた活動をそろそろ終了するという話と、今度はこの仕組みをひとり親家庭向けに活用していこうと考えているという話をさせていただきました。そこで賛同の声をたくさんいただいたので、WeSupport Familyをはじめられたというところもあります。

約3万世帯のひとり親家庭へ継続した食品支援

——現在、取り組んでいる主な活動について教えていただけますか。

WeSupport Familyの主な取り組みは3つです。1つめが、企業から寄贈された食品や日用品を必要な家庭へ届け、毎日の暮らしを安心で満たす「食品の支援」。2つめが、収穫体験や食育ワークショップなど、親子の心に思い出という栄養を届ける「体験機会の提供」。そして3つめが、季節の贈り物や小さな心づかいを通じて、暮らしにやさしい灯りをともす「生活の彩りの支援」です。経済的な応援だけでなく、心まで満たされる支援を通じ、子どもと家庭の未来をあたたかく育んでいます。

——「食品の支援」について、まずはお聞かせください。

困窮するひとり親家庭に食支援をおこなっている団体に対して、サポート企業から寄付された食品などをマッチングして届ける活動です。約1000世帯への支援からはじまり、現在は84団体を通して約3.2万世帯へ継続した支援をおこなっています。

2025年10月までの累計で83万世帯向け(約19億円相当)の食品をお届けすることができました。サポート企業数も84社となり、安定した食品供給の基盤ができています。

——食品を集めて届ける仕組みはWeSupportで構築したものが活用できそうですが、届ける先の団体や世帯についてはどのように開拓されたのでしょうか。

当初はフードパントリーをおこなっている団体に直接お声がけしたり、メンバーのなかにもこども食堂などの活動に関わっている人がいたのでそういった団体に協力のお願いするところからはじめました。いまも個別の活動団体にお声がけして支援先を広げることを継続していますが、最近ではホームページからお問合せをいただいたり、他にもたとえば神奈川県と連携するなど自治体経由で支援団体をご紹介いだくといったこともおこなっています。

画像提供:WeSupport Family

後編につづく)

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